録音エンジニアになるには
別名: PAミキサー, ミキサー(録音スタジオ)
音楽コンテンツ等を制作するために録音作業を行う。
仕事内容
電子・電気機器を駆使して、演奏家の音を収録・調整し、制作者、ディレクターの意図に沿った音楽作品に仕上げる。適切なマイクロフォンを選び、マイクセッティングを行って、原音を収録し、調整卓(ミキシングコンソール)を使って音量、音色、響き、楽器のバランスなどを調整する。「ミキサー」と呼ばれることもある。
録音スタジオでは、主にマルチトラック録音という方法をとる。最初に楽器の演奏だけのトラックを録音し、次に歌手の唄入れをして、マルチトラック・マスターを完成させる。トラックダウン作業では、このマスターを調整卓でミキシングし、適切なバランスに仕上げる。コンピュータを用いて、できるだけ短時間で制作者、ディレクターの描くイメージを音楽として表現し、音としていく。
また、コンサートホールなどでは、その場でバランスやホールの響きを考慮して収録し、後日、演奏の良い部分をつなぎあわせ、編集を行って完成させる。CDとして完成するには、個々の2チャンネル・マスターを集め1枚のアルバムとして仕上げるマスタリングの作業が必要になる。録音エンジニアはマスタリングに立ち会い、CDになった場合の音の変化について、マスタリング・エンジニアと打ち合わせ、最適な音造りを行う。
この他、放送番組や映画、DVD・ブルーレイディスク等、映像ソフトの録音、編集作業を行う録音エンジニアもいる。映像ソフトの録音エンジニアは、俳優のセリフや野外ロケでの環境音源などの録音を行い、スタジオや編集室で録音されたセリフや音を編集して、映像に付ける作業を行う。
以上、ここでは従来からのステレオ(2チャンネル)での録音、編集を説明してきた。最近、映画館から始まり一般家庭のホームシアターでも普及している、「5.1ch」(スピーカーが正面、前方左右、後方左右の5本と低音の1本)があり、チャンネルが2から5になっている。5.1chはステレオよりも立体的で臨場感がある。「ハイレゾ」と呼ばれるCDを超える情報量の高音質音源も話題になっている。また、媒体もここで説明してきたCDからダウンロード、更にストリーミングへと変わっている。様々な技術進歩とその普及があるが、録音エンジニアの仕事はここで説明してきたことを基本に、このような技術進歩が加わり変わってきている。
◇ よく使う道具、機材、情報技術等
マイク、調整卓(ミキシングコンソール)、録音機、音楽編集ソフト、パソコン
主な業務
- 適切なマイクを選び、セッティングをする。
- レコーディング装置を据え付け、テストや調整をしてレコーディングの準備をする。
- レコーディングに立ち会い、装置の微調整をする。
- 録音やレコーディングの際にディレクションを出す。
- マスターを再生して調整卓でミキシングし、音量、音色、響き、楽器のバランスなどを調整する。
- マスタリングに立会い、マスタリングエンジニアと打ち合わせをする。
- 古い録音素材をコンピューターで処理し、現代の再生機器で聞きやすく加工する。
- 音声の編集・再生装置を使用し、オリジナルの記録媒介から録音した音声を再生する。
- 撮影現場で俳優のセリフや環境音源の録音を行う(映像作品の録音エンジニア)。
- 録音されたセリフの補正やセリフのアフターレコーディング(アフレコ)を行う(映像作品の録音エンジニア)。
- 録音された音源や様々な音源を調整し映像につける(映像作品の録音エンジニア)。
- 指示書に従い、録音された音声を切り分け、ファイル化する。
- 代替えの機材を用意する。
- レコーディング装置を保守管理する。
なるには
入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされない。一般的には、専門学校の音響芸術科、放送芸術科、録音技術科などを卒業後、録音スタジオにアシスタントとして採用されるか、録音エンジニアの派遣会社に所属してレコード会社やレンタルスタジオに派遣されることが多い。また、大学で電子工学、音響工学、芸術学、音楽学などを専攻し、レコード会社に採用される場合もある。
サウンドレコーディング技術認定試験等日本音楽スタジオ協会の認定資格があり、技術の証明になる。録音エンジニアには、主に調整卓を使って音を仕上げるレコーディング・エンジニアとそれ以外のアシスタント・エンジニアがいる。はじめは、主にマイクのセッティングや録音機の操作などを行うアシスタント・エンジニアとして働きながら、感性を養い、自分独自の音を磨き、レコーディング・エンジニアとして評価される機会を待つ。
音楽が好きであることに加えて、機材を修理する技術、手先の器用さも必要となる。また、譜面が読めることが望ましい。映像ソフトの録音エンジニアは、映像に対する感性も重要である。
いずれの録音エンジニアも、歌手、演奏家、俳優、ディレクター、作曲家など様々な人との共同作業が基本となり、対人関係の能力が重要となる。また、歌手や演奏家、俳優のスケジュールが優先され、不規則なスケジュールになることもあり、体力や自己管理も必要となる。
この仕事で働く人は、専門学校卒または大卒の人が多いと答えています。 job tag がそれぞれの職業で働く人に行った調査(複数回答)によるものです。働く人の実感を示すもので、それぞれの学歴の人の割合ではありません。
就き方
- 専門学校・短大・高専・技能検定: 専門学校:音楽(文化・教養関係) 専修学校の「音楽」の課程は、2024年度の卒業生が5,236人で、そのうち2,258人が関連分野に就職しました(令和7年度学校基本調査 第237表)。課程と職業の対応付けは Peernovo によるものです。
給与 · 求人の状況 · AIとこの職業
- 平均年収:¥4,708,500 民間企業だけ(常用労働者10人以上の事業所)の数値です。公立学校の教員や警察官などの公務員は含まれません。
- 月の所定内給与(残業代と賞与を除く):中央値は¥281,800で、中間の半数の人は月¥243,000〜¥342,100です。
- 賃金構造基本統計調査の職種「製図その他生産関連・生産類似作業従事者」の数値です
- ハローワークの有効求人倍率は0.88倍です(2025年)。 将来の予測ではなく、いまの求人の状況を示す数値です。ハローワークに登録された求人と求職者だけを数えたもので、大卒や専門職の採用の多くはハローワークを通りません。
- 国際労働機関(ILO)の世界推計によると、生成AIがこの仕事でできることは比較的少ないとされています。
労働条件の特徴
音楽ソフトの録音エンジニアの多くが、東京・大阪・神奈川等に集中する録音スタジオに所属している。また、レコード会社に所属する録音エンジニア、フリーで活動するエンジニアもいる。契約社員としてレコード会社に所属するケースも多い。男性が多いが、女性も増えている。
録音スタジオは土日祝日に関係なく稼動しており、作業が夜間までかかることも多く、勤務時間は不規則で長時間になることがある。
映像ソフトの録音エンジニアは放送局や映像プロダクションに所属しているか、独立してフリーランスで作品単位の契約で仕事をしていることが多い。労働時間は撮影スケジュールが優先されるため、不規則になりがちである。
よくある質問
録音エンジニアになるにはどうすればいいですか?
入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされない。一般的には、専門学校の音響芸術科、放送芸術科、録音技術科などを卒業後、録音スタジオにアシスタントとして採用されるか、録音エンジニアの派遣会社に所属してレコード会社やレンタルスタジオに派遣されることが多い。また、大学で電子工学、音響工学、芸術学、音楽学などを専攻し、レコード会社に採用される場合もある。
日本での録音エンジニアの収入はどのくらいですか?
民間企業での平均年収は、賞与を含めて¥4,708,500です(厚生労働省)。 この数値は、いくつかの職業を含む賃金構造基本統計調査の職種「製図その他生産関連・生産類似作業従事者」のものです。
録音エンジニアになるには学位が必要ですか?
必ずしも必要ではありません。この職業が属する国勢調査の職業分類では、働く人の25%が大卒以上です。主な就き方:専門学校:音楽(文化・教養関係)。
AIによって録音エンジニアの仕事は変わりますか?
国際労働機関(ILO)の世界推計によると、生成AIがこの仕事でできることは比較的少ないとされています。
出典
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」、政府標準利用規約(第2.0版)、2026年10月4日取得
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」令和7年、政府標準利用規約(第2.0版)、2026年10月4日取得
- 総務省統計局「令和2年国勢調査」抽出詳細集計、政府標準利用規約(第2.0版)、2026年10月4日取得
- 独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)職業情報データベース ダウンロードデータ(解説系 ver.7.01、簡易版数値系 ver.7.00)、職業情報提供サイト(job tag)、2026年10月4日取得
- International Labour Organization, Generative AI and Jobs: A Refined Global Index of Occupational Exposure (ILO Working Paper 140, Gmyrek et al.)(ILO Working Paper 140, May 2025, Annex Table A1)、CC BY 4.0、2026年10月4日取得
独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成 職業情報データベース 解説系ダウンロードデータ(IPD_DL_description_7_01.xlsx)ver.7.01 職業情報提供サイト(job tag)より2026年10月4日にダウンロード(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/download)を加工して作成
独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成 職業情報データベース 簡易版数値系ダウンロードデータ(IPD_DL_numeric_7_00.xlsx)ver.7.00 職業情報提供サイト(job tag)より2026年10月4日にダウンロード(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/download)を加工して作成
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」を加工して作成
出典:総務省統計局「令和2年国勢調査」を加工して作成
出典:文部科学省「令和7年度学校基本調査」を加工して作成
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」を加工して作成
出典:総務省「日本標準職業分類(平成21年12月告示)」
2026年10月4日更新
