バイオテクノロジー技術者になるには
別名: バイオケミカル開発技術者, バイオテクノロジー開発技術者
生物を利用して有用な物質を作り出す研究や開発を行い、生産工程で技術的な指導等を行う。
仕事内容
生物が本来持っている能力、機能を有効利用するバイオテクノロジーの技術を使い、医療や保健衛生分野を初めとして、食料製造、環境保全などにおいて技術開発を行う。
バイオテクノロジーの応用分野は、大きく4つに分類することができる。
医療・ヘルスケアの分野では、医薬品開発の研究者や医療従事者と共同して、医薬品やワクチンの開発、iPS細胞やES細胞を中心とした再生医療の技術開発、感染症やがんの診断技術の開発、等々を行っている。分析や診断の装置開発も併せて行っている。
食料・農林水産業の分野では、特定保健用食品(トクホ)をはじめとする機能性食品の開発や、ゲノム編集技術を利用し、効率的に収穫できる品種を開発するなど、食に関する分野の研究開発を行う。食品の安全を守る面でも医学、薬学の研究者とともに大きな役割を果たしている。
生化学(バイオケミカル)分野においては、発酵技術などのバイオ技術を用い、食品や医薬品の原料、農薬、工業用品などの製造技術を開発している。
環境・エネルギー技術分野では、サトウキビなどの植物、家畜糞尿、下水汚泥、廃食用油など、さまざまな生物資源を利用したバイオ燃料(バイオマス)の開発が進められている。水質や大気など公害問題や下水処理、悪臭防止でもバイオテクノロジー技術者が活躍している。
分析の結果から報告書等を作成する。報告書や書類は英語で作成することも多くなっている。大量データの処理と分析も行われている(バイオインフォマティクス)。
大学や外部機関と大規模な共同研究を行うこともある。技術開発は何年もかかることから、一つの仕事の期間が長いことも特徴である。
<就業希望者へのメッセージ>
自分の専門性を活かし、小さな企業であっても大企業、大学、研究機関との共同事業や大規模プロジェクトに参加できます。この分野はスタートアップ企業も多いです。専門家は貴重であり、70歳代でも活躍している人が多く、健康であれば生涯現役で働けます。技術を活かして働く障害者も多いです。食品メーカーでは女性が多く活躍しています。(就業者)
◇よく使う道具、機材、情報技術等
分析装置(PCR等遺伝子解析装置、他)、安全キャビネット、クリーンベンチ、パソコン、統計解析ソフト
主な業務
- 遺伝子やタンパク質の発現場所を解析する。
- 目的の性質をもたせるために、細菌・細胞・動物・植物の遺伝子操作をする。
- 培養や実験のため、対象が他の微生物等に汚染されないよう無菌操作をする。
- 実験用の装置や器具を操作する。
- 各種分析装置を操作して対象を測定する。
- 培養した生物から有用な生成物を取り出し精製する。
- 実験室や試験場規模での生産を行い、データを蓄積して分析する。
- 生物に由来する物質を化学的に変換する。
- コンピュータによる分子設計支援システムを構築する。
- ナノマシンの研究や開発をする。
- 大学や外部機関との共同研究を計画し、実行する。
- 新商品の開発を企業に提案する。
- 生産段階へのスケールアップにおいて技術的な指導をする。
- 生産工程で技術的な指導・監督をする。
- 申請・承認に必要な書類を作成する。
- 生産工程で使用する機器の保守メンテナンスを行う。
- 特定の実験データから、市場のニーズに合わせた宣伝資料を作成する。
- 最新の技術や情報を収集する。
なるには
入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされないが、大学や高専で理学、薬学、工学、農学等を専攻し、バイオテクノロジーの理論や技術を学び、食品、薬品、化学、化粧品などメーカーの技術開発部門に入職するのが一般的なルートである。農業高校を卒業し検査機関等での経験を経てなる人もいる。
関連資格として「技術士(化学部門、生物工学部門、環境部門等)」がある。
専門分野の知識に加え、柔軟性があり視野が広いこともバイオ技術者には必要な資質といえる。生活に根ざした課題を解決することが目的であるため、世の中にどんな問題があるのか、常に問題意識を持っていることが望まれる。チームでの仕事が多いことから、自分の専門性を活かしたチームワークが求められる。医療や工業の関係者との仕事も多くなっている。海外と接点も多く、英語の読解力や会話力、また報告書を作成する文章力も必要である。コンピュータでのデータ解析のスキルも重要になっている。
この仕事で働く人は、大学院修士課程修了、大卒、または大学院博士課程修了の人が多いと答えています。 job tag がそれぞれの職業で働く人に行った調査(複数回答)によるものです。働く人の実感を示すもので、それぞれの学歴の人の割合ではありません。
就き方
- 大学: 理学の学位, 日本の83校の大学で開講
- 大学: 工学の学位, 日本の95校の大学で開講
- 国家資格・免許: job tag がこの仕事の関連資格として挙げている資格です:技術士(生物工学部門)、技術士(化学部門)、技術士(環境部門)。
給与 · 求人の状況 · AIとこの職業
- 平均年収:¥6,417,300 民間企業だけ(常用労働者10人以上の事業所)の数値です。公立学校の教員や警察官などの公務員は含まれません。
- 月の所定内給与(残業代と賞与を除く):中央値は¥343,900で、中間の半数の人は月¥284,400〜¥432,300です。
- 賃金構造基本統計調査の職種「化学技術者」の数値です
- ハローワークの有効求人倍率は1.93倍です(2025年)。 将来の予測ではなく、いまの求人の状況を示す数値です。ハローワークに登録された求人と求職者だけを数えたもので、大卒や専門職の採用の多くはハローワークを通りません。
- 国際労働機関(ILO)の世界推計によると、生成AIによってこの仕事の一部の作業が変わる可能性があります。
労働条件の特徴
勤務先は食品メーカー、化学、薬品等であり技術開発部門に配属される。大企業だけでなく、バイオテクノロジーを活かしたスタートアップ企業も多い。
賃金、労働時間等労働条件は勤務先の規定による。正社員が多く、食品メーカーでは女性が多い。生物を使った実験などを行う関係で、残業が必要になることもあるが、就業環境は分野によって様々である。
勤務年数が長いことも特徴である。重労働ではなく、在宅でできる仕事もあり、健康であれば70歳代で活躍している人が多い。中には80歳を超えて働いている人がいる。技術を活かして活躍している障害者も多い。
食品に対する厳しい安全性と品質が求められるようになり(微生物の混入等)、この面でもバイオテクノロジー技術者が求められている。
化石燃料の多用がもたらす環境や気候変動などの課題を、生物資源やバイオテクノロジーによって克服し、新たな産業の振興と経済成長を実現しようとする「バイオエコノミー」の考え方が広がっている。また、人口増加による食料や水不足、世界的な感染症の流行など、地球規模で懸念されている課題の解決の面でもバイオテクノロジーは期待されている。
関連する職業
よくある質問
バイオテクノロジー技術者になるにはどうすればいいですか?
入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされないが、大学や高専で理学、薬学、工学、農学等を専攻し、バイオテクノロジーの理論や技術を学び、食品、薬品、化学、化粧品などメーカーの技術開発部門に入職するのが一般的なルートである。農業高校を卒業し検査機関等での経験を経てなる人もいる。
日本でのバイオテクノロジー技術者の収入はどのくらいですか?
民間企業での平均年収は、賞与を含めて¥6,417,300です(厚生労働省)。 この数値は、いくつかの職業を含む賃金構造基本統計調査の職種「化学技術者」のものです。
バイオテクノロジー技術者になるには学位が必要ですか?
多くの場合は必要です。この職業が属する国勢調査の職業分類では、働く人の81%が大卒以上です。
AIによってバイオテクノロジー技術者の仕事は変わりますか?
国際労働機関(ILO)の世界推計によると、生成AIによってこの仕事の一部の作業が変わる可能性があります。
出典
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」、政府標準利用規約(第2.0版)、2026年10月4日取得
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」令和7年、政府標準利用規約(第2.0版)、2026年10月4日取得
- 総務省統計局「令和2年国勢調査」抽出詳細集計、政府標準利用規約(第2.0版)、2026年10月4日取得
- 独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)職業情報データベース ダウンロードデータ(解説系 ver.7.01、簡易版数値系 ver.7.00)、職業情報提供サイト(job tag)、2026年10月4日取得
- International Labour Organization, Generative AI and Jobs: A Refined Global Index of Occupational Exposure (ILO Working Paper 140, Gmyrek et al.)(ILO Working Paper 140, May 2025, Annex Table A1)、CC BY 4.0、2026年10月4日取得
独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成 職業情報データベース 解説系ダウンロードデータ(IPD_DL_description_7_01.xlsx)ver.7.01 職業情報提供サイト(job tag)より2026年10月4日にダウンロード(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/download)を加工して作成
独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成 職業情報データベース 簡易版数値系ダウンロードデータ(IPD_DL_numeric_7_00.xlsx)ver.7.00 職業情報提供サイト(job tag)より2026年10月4日にダウンロード(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/download)を加工して作成
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」を加工して作成
出典:総務省統計局「令和2年国勢調査」を加工して作成
出典:文部科学省「令和7年度学校基本調査」を加工して作成
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」を加工して作成
出典:総務省「日本標準職業分類(平成21年12月告示)」
2026年10月4日更新
