ファンドマネージャーになるには
投資信託会社、投資顧問会社、機関投資家等の資金運用機関において資金(ファンド)の運用を担当する。
仕事内容
関連職業にアナリスト、トレーダーがあるが、アナリストは銘柄(企業)の調査担当者、トレーダーは有価証券の売買実施者である。ファンドマネージャーは、ファンドの運用方針を立てるとともに、社内のエコノミスト、アナリスト等と定期的にミーティングを行い、アナリストによる調査分析を踏まえて、必要なポートフォリオの組換え等を行い、トレーダーに発注を依頼する。ファンドの運用は、このようにチームで行われるのが一般的で、このチームの責任者がファンドマネージャーである。
業務を具体的にみると次のとおりである。まず①金融市場、国内外の政治・経済・社会情勢に関する日々の最新ニュースをチェックする。海外の動向も把握するため、早朝からの対応が必須である。次いで②ファンドの運用業務として社内のさまざまなレベルでミーティングに出席し、社としての投資方針を把握、それを踏まえてファンドの運用方針を策定する。加えて、運用チームメンバーミーティングを行い、市場や銘柄分析などに基づいて投資銘柄等を選定、運用しているファンドのポートフォリオの状況をチェックし、必要に応じてリバイスをする。③企業情報の収集・分析を行う。これは基本的にはアナリストの業務であるが、最近ではアナリストとともに企業訪問を積極的に行い、企業経営者の経営方針や現場の声などを集めて、それを投資判断に生かす者も増えている。そして④投資家への説明をする。ファンドごとに運用報告書やレポートを作成・送付する等により、投資家(顧客)に運用状況を説明することもファンドマネージャーの重要な業務である。さらに、それほど頻度が高いものではないものの⑤全く新しいファンドを立ち上げることもある。
◇ よく使う道具、機材、情報技術等
文書作成ソフト(Word、一太郎等)、表計算ソフト(Excel、Googleスプレッドシート等)、プレゼン資料作成ソフト(PowerPoint、Keynote等)、パソコン
主な業務
- 株価・株価関連情報、金融市場の情報をチェックする。
- 国内外の政治・経済・社会情勢に関する日々の最新ニュースをチェックする。
- 社内のさまざまなレベルでミーティングに出席し、社としての投資方針を把握する。
- 社としての投資方針に基づいて、ファンドの運用方針を策定する。
- 運用チームメンバーミーティングを行い、市場や銘柄分析などに基づいて投資銘柄等を選定する。
- 運用しているファンドのポートフォリオの状況をチェックし、必要に応じてリバイスをする。
- 企業訪問をして、企業から実態情報を得るとともに、企業に対して提案やアドバイスを行うなど双方向のコミュニケーションを行う。
- 訪問をして得た企業情報を分析する。
- ファンドごとに運用報告書やレポートを作成・送付する等により、投資家(顧客)に運用状況を説明する。
- 新しいファンドを立ち上げる。
- ファンドの将来収支をシミュレーションする。
- 投資の費用対効果を算定する。
- ファンドの運用状況を経営陣に報告する。
- 企業のALM(資産と負債の総合管理)をサポートする。
なるには
この仕事に就くために、特に学歴や資格は必要とされないが、実態としては、大学等の経済学部や商学部卒業者が多く、理系の学生の採用もある。
ファンドマネージャー職に就きたい場合、基本的には運用会社として独立している投資信託会社や投資顧問会社、信託銀行、保険会社などが就職先となるが、運用会社が最初からファンドマネージャーとして新卒募集する例は多くはなく、アナリストのアシスタントとしてキャリアをスタートし、アナリストを経てファンドマネージャーに移行するのが一般的とされる。特に、外資系運用会社では新卒の採用はほとんどなく、日系運用会社で実績を出している者を中途採用するのが一般的とされる。
既存のファンドを参考にしながらファンドを自分で設計し、概ね独力で運用できるレベルになるには2年程度かかると言われ、このレベルはジュニアファンドマネージャーと呼ばれる。これに対して、自分固有のファンドを持ち、顧客への説明・勧誘まで全責任をもって行動するレベルになるとシニアファンドマネージャーと呼ばれる。シニアレベルになるには10年以上の経験が必要とされ、30代半ばから40代がファンドマネージャーの中核的な年齢層と言える。基本的に他社に移っても同じように仕事ができる専門職種であることから、潜在的な転職需要の多い職業である。転職はジュニアクラスが多く、転職の動機としては、より高い報酬や権限を求めてのケースや、運用会社の投資方針や投資スタイルの違いによるケースもある。
関連資格として、民間の「日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)」があり、ファンドマネージャーはほぼ全員が有している。事実上必須の資格となっており、就職後、若手社員のうちに取得することが望ましいとされている。
投資のセンスがまず求められるが、調査・分析能力、アナリストの分析を的確に理解する能力、投資先企業や得意先とのコミュニケーション能力、計画策定能力、顧客への説明能力も欠くことはできない。加えて、チームで業務に当たるのが基本であることから、協調性と統率力が求められる。海外の情勢もフォローするため語学力も必須である。さらに、大きな資金を動かすことからメンタル面での強靭さが必要である。
この仕事で働く人は、大卒の人が多いと答えています。 job tag がそれぞれの職業で働く人に行った調査(複数回答)によるものです。働く人の実感を示すもので、それぞれの学歴の人の割合ではありません。
就き方
- 大学: ビジネス・商学の学位, 日本の85校の大学で開講
給与 · 求人の状況 · AIとこの職業
- 平均年収:¥11,346,400 民間企業だけ(常用労働者10人以上の事業所)の数値です。公立学校の教員や警察官などの公務員は含まれません。
- 月の所定内給与(残業代と賞与を除く):中央値は¥528,100で、中間の半数の人は月¥389,000〜¥812,500です。
- 賃金構造基本統計調査の職種「その他の経営・金融・保険専門職業従事者」の数値です
- ハローワークの有効求人倍率は0.80倍です(2025年)。 将来の予測ではなく、いまの求人の状況を示す数値です。ハローワークに登録された求人と求職者だけを数えたもので、大卒や専門職の採用の多くはハローワークを通りません。
- 国際労働機関(ILO)の世界推計によると、生成AIによってこの仕事の多くの作業が変わる可能性があります。多くの場合、仕事を置き換えるというより、仕事の形を変えるものです。
労働条件の特徴
勤務先は投資信託会社、投資顧問会社、機関投資家等の資金運用機関である。職場は都市部が多く、正社員がほとんどである。独立して運用会社を立ち上げる場合もある。
賃金は、運用成績によってボーナスが上下するものの、平均すれば比較的高い水準である。外資系運用会社では高給で処遇されるケースもある。
労働時間としては、海外も含めた金融市場情勢、社会・経済ニュースのチェックを行うため、朝が早いことが特徴である。勤務中は社内外での種々のミーティングとデスクワークをこなすとともに、勤務時間外でも国内外を問わず相場に影響を及ぼすようなニュースのチェックは怠ることができないため、日々緊張感は高い。
年間の平均休日数は、他業種と比較してほぼ平均的である。世界の金融市場は常時動いており、一般的な休暇シーズンとかかわらず、個人の仕事の状況に応じて、休暇を取得する傾向がある。
特に最近では、企業の資金運用や個人の老後の資産形成への関心の高まりなどにより、投資環境の整備と相まって、ファンドマネージャーの活躍の場は広がってきている。
関連する職業
よくある質問
ファンドマネージャーになるにはどうすればいいですか?
この仕事に就くために、特に学歴や資格は必要とされないが、実態としては、大学等の経済学部や商学部卒業者が多く、理系の学生の採用もある。
日本でのファンドマネージャーの収入はどのくらいですか?
民間企業での平均年収は、賞与を含めて¥11,346,400です(厚生労働省)。 この数値は、いくつかの職業を含む賃金構造基本統計調査の職種「その他の経営・金融・保険専門職業従事者」のものです。
ファンドマネージャーになるには学位が必要ですか?
多くの場合は必要です。この職業が属する国勢調査の職業分類では、働く人の83%が大卒以上です。
AIによってファンドマネージャーの仕事は変わりますか?
国際労働機関(ILO)の世界推計によると、生成AIによってこの仕事の多くの作業が変わる可能性があります。多くの場合、仕事を置き換えるというより、仕事の形を変えるものです。
出典
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」、政府標準利用規約(第2.0版)、2026年10月4日取得
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」令和7年、政府標準利用規約(第2.0版)、2026年10月4日取得
- 総務省統計局「令和2年国勢調査」抽出詳細集計、政府標準利用規約(第2.0版)、2026年10月4日取得
- 独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)職業情報データベース ダウンロードデータ(解説系 ver.7.01、簡易版数値系 ver.7.00)、職業情報提供サイト(job tag)、2026年10月4日取得
- International Labour Organization, Generative AI and Jobs: A Refined Global Index of Occupational Exposure (ILO Working Paper 140, Gmyrek et al.)(ILO Working Paper 140, May 2025, Annex Table A1)、CC BY 4.0、2026年10月4日取得
独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成 職業情報データベース 解説系ダウンロードデータ(IPD_DL_description_7_01.xlsx)ver.7.01 職業情報提供サイト(job tag)より2026年10月4日にダウンロード(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/download)を加工して作成
独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成 職業情報データベース 簡易版数値系ダウンロードデータ(IPD_DL_numeric_7_00.xlsx)ver.7.00 職業情報提供サイト(job tag)より2026年10月4日にダウンロード(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/download)を加工して作成
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」を加工して作成
出典:総務省統計局「令和2年国勢調査」を加工して作成
出典:文部科学省「令和7年度学校基本調査」を加工して作成
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」を加工して作成
出典:総務省「日本標準職業分類(平成21年12月告示)」
2026年10月4日更新
