コンプライアンス推進担当になるには
別名: コンプライアンスオフィサー(法令遵守責任者), コンプライアンス担当事務員
企業の不正行為の発生を未然に防止するため、企業内のコンプライアンスの推進体制を整備し、運用する。
仕事内容
コンプライアンスは、文字通りには「法令遵守」であるが、それは、単に法令を守るだけでなく、社内規則や業務マニュアルは言うまでもなく、法令の背景にある社会規範全般を含めた幅広い規則を遵守することを意味している。CSRが企業評価や株式投資の指標のひとつとなっている現代では、企業のコンプライアンス推進は企業価値を高める取組そのものと言える。
具体的に担当する業務は、①コンプライアンス推進体制の整備(担当組織の管理・運営、推進プログラムの作成・施行、推進マニュアル等の整備・施行など)、②企業活動に係るコンプライアンス・チェック(各種契約の内容・締結のチェック、知的財産管理、各部門からの相談対応・係争等支援など)、③コンプライアンスに係る教育・研修(教育・研修プログラムの策定、研修等の実施など)、④コンプライアンス推進に係る広報(コンプライアンス推進状況の把握・分析、把握・分析結果の社内フィードバック、経営理念、倫理綱領等の制定・周知の支援など)等である。
コンプライアンス推進は、もともとは法務部門の担当に区分される事項であったが、企業の社会的責任や適切なガバナンスの重要度が増大してきたことに対応して特化してきたものである。したがって、コンプライアンス推進担当は新しい仕事であり、その担当事項も法務部門と重なるところがある。
組織的にみると上場企業ではほとんどの企業がコンプライアンス推進担当部署を設置している。当該担当部署としては、社長直属のコンプライアンス推進委員会を設置してその下に担当部署を置くもの、法務担当部内にコンプライアンス推進室等を置くもの、逆に、コンプライアンス推進担当部の中に法務担当を置くものなどさまざまである。また、専門部署として設置するもの、他の業務と兼務する担当者を置くものなど、専任・兼任の態様も多様である。
◇ よく使う道具、機材、情報技術等
文書作成ソフト(Word、一太郎等)、プレゼン資料作成ソフト(PowerPoint、Keynote等)、パソコン
主な業務
- コンプライアンス推進担当組織を適切に管理・運営する。
- コンプライアンス推進プログラムを作成・施行する。
- コンプライアンス推進マニュアル等を整備・施行する。
- 各種契約が法令等に抵触しないよう内容・締結に関与するとともに、知的財産の適切な管理等を行う。
- 各部門からの各種相談に対応するとともに、係争等への対応を支援する。
- コンプライアンス教育・研修プログラムを策定し、研修等を実施する。
- コンプライアンス推進状況の把握・分析を行う。
- コンプライアンス推進状況について社内に適切にフィードバックする。
- 経営理念、倫理綱領などの制定とそれらの周知を支援する。
- 社内規則を制定・改定する。
- 内部通報制度を運営する。
- 内部統制状況の評価を行う。
- 内部統制状況の内部監査を行う。
- 外部監査法人からの監査を調整する。
- リスクマネジメント業務を行う。
- 業界の自主規制を遵守する。
- プライバシーマークに関わる事務をする。
- 法律改正などの情報を収集する。
なるには
この仕事に就くために特に学歴や資格は必要とされないが、大学・大学院卒がほとんどである。新卒でコンプライアンス推進担当部門に配属され、そのままプロパーとして担当している例はほとんどなく、大半が社内他部門からの異動か中途採用である。
中途採用者の実務経験としては、法務担当の経験は有利とされる。
コンプライアンス推進担当に求められる専門性は本来きわめて高いものがある。法令などの知識は言うまでもなく、業界事情に通じていることや、他部署とのやりとりなどの機会もあることから、コミュニケーション能力や情報収集・分析能力、協調性、柔軟性、冷静さが求められる。これに加えて一定の実務経験が必要とされる。また、企業活動はグローバル化しており、高い語学力(特に英語力)が求められている。
この仕事で働く人は、大卒の人が多いと答えています。 job tag がそれぞれの職業で働く人に行った調査(複数回答)によるものです。働く人の実感を示すもので、それぞれの学歴の人の割合ではありません。
給与 · 求人の状況 · AIとこの職業
- 平均年収:¥5,286,700 民間企業だけ(常用労働者10人以上の事業所)の数値です。公立学校の教員や警察官などの公務員は含まれません。
- 月の所定内給与(残業代と賞与を除く):中央値は¥283,600で、中間の半数の人は月¥225,100〜¥386,200です。
- 賃金構造基本統計調査の職種「その他の一般事務従事者」の数値です
- ハローワークの有効求人倍率は0.34倍です(2025年)。 将来の予測ではなく、いまの求人の状況を示す数値です。ハローワークに登録された求人と求職者だけを数えたもので、大卒や専門職の採用の多くはハローワークを通りません。
- 国際労働機関(ILO)の世界推計によると、生成AIがこの仕事でできることは比較的少ないとされています。
労働条件の特徴
基本的に企業の正社員であり、労働条件は勤務先の規定が適用される。残業は個別事案がある等の事情がなければ多くはなく、1日当たり1~2時間(月20~30時間)程度である。
コンプライアンス重視の経営への要請がますます増大する中で、企業・団体は、コンプライアンス推進体制の充実を強く求められているが、これを推進する人材はまだ十分に企業・団体内に配置されている状況ではない。その意味で、こうしたコンプライアンスの専門人材に対する需要は、業種を問わず高まっていくと考えられる。
関連する職業
よくある質問
コンプライアンス推進担当になるにはどうすればいいですか?
この仕事に就くために特に学歴や資格は必要とされないが、大学・大学院卒がほとんどである。新卒でコンプライアンス推進担当部門に配属され、そのままプロパーとして担当している例はほとんどなく、大半が社内他部門からの異動か中途採用である。
日本でのコンプライアンス推進担当の収入はどのくらいですか?
民間企業での平均年収は、賞与を含めて¥5,286,700です(厚生労働省)。 この数値は、いくつかの職業を含む賃金構造基本統計調査の職種「その他の一般事務従事者」のものです。
コンプライアンス推進担当になるには学位が必要ですか?
必ずしも必要ではありません。この職業が属する国勢調査の職業分類では、働く人の55%が大卒以上です。
AIによってコンプライアンス推進担当の仕事は変わりますか?
国際労働機関(ILO)の世界推計によると、生成AIがこの仕事でできることは比較的少ないとされています。
出典
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」、政府標準利用規約(第2.0版)、2026年10月4日取得
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」令和7年、政府標準利用規約(第2.0版)、2026年10月4日取得
- 総務省統計局「令和2年国勢調査」抽出詳細集計、政府標準利用規約(第2.0版)、2026年10月4日取得
- 独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)職業情報データベース ダウンロードデータ(解説系 ver.7.01、簡易版数値系 ver.7.00)、職業情報提供サイト(job tag)、2026年10月4日取得
- International Labour Organization, Generative AI and Jobs: A Refined Global Index of Occupational Exposure (ILO Working Paper 140, Gmyrek et al.)(ILO Working Paper 140, May 2025, Annex Table A1)、CC BY 4.0、2026年10月4日取得
独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成 職業情報データベース 解説系ダウンロードデータ(IPD_DL_description_7_01.xlsx)ver.7.01 職業情報提供サイト(job tag)より2026年10月4日にダウンロード(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/download)を加工して作成
独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成 職業情報データベース 簡易版数値系ダウンロードデータ(IPD_DL_numeric_7_00.xlsx)ver.7.00 職業情報提供サイト(job tag)より2026年10月4日にダウンロード(https://shigoto.mhlw.go.jp/User/download)を加工して作成
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」を加工して作成
出典:総務省統計局「令和2年国勢調査」を加工して作成
出典:文部科学省「令和7年度学校基本調査」を加工して作成
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」を加工して作成
出典:総務省「日本標準職業分類(平成21年12月告示)」
2026年10月4日更新
